A.S.I.A.における付加価値税管理の概念
概要
A.S.I.A.においては、付加価値税の管理を行う場合は、[コモンマスタモジュール]の[課税区分登録]で課税区分と税率を設定し、各エントリ画面では課税区分を指定することにより付加価値税を計上します。各エントリ画面で直接税率を入力する方式ではありません。
計上された付加価値税は[一般会計/多通貨会計モジュール]の[課税区分別消費税集計表]/[課税区分別消費税明細表]で集計出力することができますので、例えば日本における消費税申告書の基礎資料などとして利用することができます。
なお、[基本会計サブシステム]、[販売管理/購買管理サブシステム]、[債権管理/債務管理サブシステム]では付加価値税の計算の方法が異なりますのでご注意ください。
付加価値税の管理に関するマスタ設定
- 課税区分の登録
[コモンマスタモジュール]の[課税区分登録]において課税区分(課税売上、非課税売上、不課税売上、その他(税率計算あり)、課税仕入など)、税率を設定します。
- 勘定科目の付加価値税対象設定
[アカウンティングマスタモジュール]の[科目/補助登録]において付加価値税の対象となる勘定科目/補助を"消費税対象"に設定し、税区分(売上/仕入)と課税区分を設定してください。
付加価値税の計上は付加価値税対象の勘定科目/補助に対してのみ行うことができます。ここで科目/補助に対して設定した課税区分が、エントリ時に科目を指定すると初期表示されます。
- 自動仕訳時の付加価値税計上科目の登録
[システムカストディアンモジュール]の[パラメータ設定]において、自動仕訳時の付加価値税科目に使用される仮受消費税等科目/補助、仮払消費税等科目/補助を設定します。
- 付加価値税管理を行う場合のパラメータ設定
[システムカストディアンモジュール]の[パラメータ設定]において"消費税管理(会計)"を「する」に設定します。
- 税額計算時の端数処理方法の登録
[システムカストディアンモジュール]の[パラメータ設定]において、税額計算時に端数が発生した場合の処理(切上げ、切捨て、四捨五入)を設定します。売上税額と仕入税額の端数処理を別々に設定できます。伝票入力時に指定した課税区分の販売/購買の別に従って、販売/購買のそれぞれの端数処理が適用されます。
- 取引先に対する付加価値税集計区分の登録(販売管理/購買管理サブシステムのみ関連)
[コモンマスタモジュール]の[取引先登録]において、付加価値税の集計単位を「対象外」、「伝票単位」、「明細行単位」の中から選択します。
- 品目に対する課税区分の登録(販売管理/購買管理サブシステムのみ関連)
[ロジスティックスマスタモジュール]の[品目登録]において各品目の課税区分(販売/購買)と税区分(内税/外税)を設定しておくと、品目を入力したときに課税区分と税区分が自動設定されますので入力の手間を省くことが可能です。
- 諸掛区分としての「消費税」の登録(販売管理/購買管理サブシステムのみ関連)
[ロジスティックスマスタモジュール]の[諸掛登録]において、「消費税」の諸掛を設定します。ここで登録した諸掛のコードは、販売/購買系のエントリ画面で直接指定することはありませんが、受注/仕入計上時に付加価値税の諸掛明細として内部処理に使用されます。
会計サブシステムにおいて付加価値税を管理するには
[基本会計サブシステム]の各エントリ画面においては、取引先の"消費税集計単位"の設定に関係なく、消費税集計単位は「伝票単位」となります。
明細行単位で"課税区分"、"税区分"(内税/外税)、を選択します。"課税区分"の異なる明細を同一伝票に混在させることができます。
各エントリの明細部で仕訳データを入力したあと、"税額計算"ボタンをクリックすることで消費税科目の明細が自動的に計上されます。
販売/購買サブシステムにおいて付加価値税を管理するには
[販売管理/購買管理サブシステム]の各エントリ画面において指定する取引先の設定に応じて、消費税集計単位が決定されます。
- 対象外の場合
税額は計上されません。税額に関する項目も一切表示されません。
- 明細行単位の場合
明細1行毎に税額が計算され、表示されます。
- 伝票単位の場合
各明細には税額は表示されず、画面下のスプレッド部に明細行の合計金額に対する税額が計算され、表示されます。
伝票入力時に品目を指定すると、品目毎に設定されている初期表示用の課税区分が設定されますが、手入力で"課税区分"を選択し直すこともできます。
なお、取引先の消費税集計単位の設定に関係なく、同一伝票内に"課税区分"の異なる明細を混在させることはできません(値引の発生を考慮するため)。
債権/債務サブシステムにおいて付加価値税を管理するには
[販売管理/購買管理サブシステム]の各エントリ画面においては、取引先の消費税集計単位の設定に関係なく、消費税集計単位は「明細行単位」となります。
端数処理について
画面上で基準通貨または入力通貨で金額を入力すると、課税区分に設定されている税率と税区分(内税/外税)にしたがって税額が計算されます。その際、金額や通貨によっては、税額の端数処理を考慮しなければいけない場合があります。計算例については、下記を参照してください。
端数処理の詳細について、「A.S.I.A.における端数処理の概念」を参照してください。
月締請求書における計算について
月締請求書の消費税額は、個別に発行した請求書や支払伝票の消費税額を合計して求めます。
前払消費税の扱いについて
[デファードアカウントコントロールモジュール]で前払いの繰延データを入力する際に、前払消費税を計上した場合は、通常の消費税計算と異なり前払消費税の按分値を仮払消費税とします。
GST No.対応
[コモンマスタモジュール]の[取引先登録]の"TAX
ID"において、各取引先毎に"GST No."を設定することにより、[課税区分別消費税集計表/明細表]を用いてGST No.別のVAT(Value Add Tax)レポートの作成が可能です。
「外税」計算手順
外税の場合、エントリ画面で税区分「外税」を選択し、「税抜の金額」を入力します。
- 通貨 = 基準通貨の場合
入力税額 = 税抜入力金額 × 税率(課税区分マスタが保持する税率)
基準税額は入力税額と同じ数値が自動的に設定されます。
[会社設定]の「小数点以下1桁で端数処理」設定=ONの場合、入力税額についても小数点以下1桁目で端数処理が行われます。
- 通貨 = 外貨の場合
換算順序はレート→税率の順であることに注意してください。
(例)
「税率」 = 0.05、「為替レート」 = 130.11、[パラメータ設定]の"
外貨端数処理区分" = 「切捨て」、"売上税額端数処理区分"および"仕入税額端数処理区分"
= 「切捨て」、[会社設定]の"小数点以下1桁で端数処理"
= 「OFF」
-
税抜入力金額=115.50 … 【1】
-
税抜基準金額の算出
税抜基準金額 = 税抜入力金額 × 換算レート
更にシステムカストディアン[パラメータ設定]の「外貨端数処理区分」で端数処理を行います。
→税抜基準金額 = 115.50 × 130.11=15,027.705
= 15,027.70 … 【2】
-
入力税額の算出
入力税額 = 税抜入力金額 × 税率(課税区分マスタが保持する税率)
更にシステムカストディアン[パラメータ設定]の「税額端数処理区分」で端数処理を行います。適用される端数処理区分の詳細は後述。
→入力税額 = 115.50 × 0.05=5.775 = 5.77 … 【3】
-
基準税額の算出
基準税額 = 税抜基準金額 × 税率
更にシステムカストディアン[パラメータ設定]の「税額端数処理区分」で端数処理を行います。
→基準税額 = 【2】 × 0.05=15,027.70 × 0.05 = 751.385
= 751.38 … 【4】
※従って手順3で算出される入力税額と手順4で算出される基準税額は計算の因果関係はありません(入力税額をもとに基準税額が求められるわけではありません)。
-
税込入力金額の算出
税込入力金額 = 税抜入力金額 + 入力税額
→税込入力金額 = 【1】 + 【3】 = 115.50 +
5.77 = 121.27
-
税込基準金額の算出
税込基準金額 = 税抜基準金額 + 基準税額
→税込基準金額 = 【2】 + 【4】 = 15,027.70 +
751.38 = 15,799.08
外貨かつ外税の場合の計算手順
|
税抜金額 |
|
税額 |
|
税込金額 |
入力
(外貨) |
115.50 |
→手順3
「税抜入力金額 × 税率」
(さらに税額端数処理) |
5.77 |
→手順5
「税抜入力金額 + 入力税額」 |
121.27 |
|
↓手順2
「税抜入力金額 × 換算レート」
(さらに外貨端数処理) |
|
入力税額をもとにした基準税額の算出は行われない |
|
|
基準 |
15,027.70
(15,027.00) |
→手順4
「税抜基準金額 × 税率」
(さらに税額端数処理) |
751.38
(751.00) |
→手順6
「税抜基準金額 + 基準税額」 |
15,779.08
(15,778.00) |
( )内の数値は、「小数点以下端数処理」がONの場合
「内税」計算手順
内税の場合、エントリ画面で税区分「内税」を選択し、「税込の金額」を入力します。
- 通貨 = 基準通貨の場合
税額 = 税込金額 × {税率 / (1 + 税率)}
計算結果について「税額端数処理区分」に従って端数処理が行われます。
基準税額は入力税額と同じ数値が自動的に設定されます。
[会社設定]の「小数点以下1桁で端数処理」設定 =
ONの場合、入力税額についても小数点以下1桁目で端数処理が行われます。
税抜入力金額 = 税込入力金額 + 入力税額
-
通貨 = 外貨の場合
換算順序はレート→税率の順であることに注意してください。
(例)
「税率」 = 0.05、「為替レート」 = 130.11、[パラメータ設定]の"
外貨端数処理区分" = 「切捨て」、"売上税額端数処理区分"および"仕入税額端数処理区分"
= 「切捨て」、[会社設定]の"小数点以下1桁で端数処理"
= 「OFF」
-
税込入力金額 = 115.50 … 【1】
-
税込基準金額の算出
税込基準金額 = 税抜入力金額 × 換算レート
→更にシステムカストディアン[パラメータ設定]の「外貨端数処理区分」で端数処理を行います。
→税込基準金額 = 115.50 × 130.11=15,027.705
= 15,027.70 … 【2】
-
入力税額の算出
入力税額 = 税込入力金額 × {税率 / (1 + 税率)}
更にシステムカストディアン[パラメータ設定]の「税額端数処理区分」で端数処理を行います。
→入力税額 = 【1】 × {0.05 / (1.00 + 0.05)}
=
115.50 × {0.05 / (1.00 + 0.05)} = 5.5 … 【3】
-
基準税額の算出
基準税額 = 税込基準金額 × {税率 / (1
+ 税率)}
更にシステムカストディアン[パラメータ設定]の「税額端数処理区分」で端数処理を行います。
→基準税額 = 【2】 × {0.05 / (1.00 + 0.05)}
= 15,027.70 × (0.05 / 1.05) = 715.60476 =
715.60 … 【4】
※従って手順3で算出される入力税額と手順4で算出される基準税額は計算の因果関係はありません(入力税額をもとに基準税額が求められるわけではありません)。
-
税抜入力金額の算出
税抜入力金額 = 税込入力金額 - 入力税額
→税抜入力金額 = 【1】 - 【3】 = 115.50
- 5.5 = 110.00
-
税抜基準金額の算出
税抜基準金額 = 税込基準金額 - 基準税額
→税抜基準金額 = 【2】 - 【4】 = 15,027.70
- 715.60 = 14,312.10
外貨かつ内税の場合の計算手順
|
税込金額 |
|
税額 |
|
税抜金額 |
入力
(外貨) |
115.50 |
→手順3
「税込入力金額 × {税率 / (1 + 税率)}」
(さらに税額端数処理) |
5.50 |
→手順5
「税抜入力金額 - 入力税額」 |
110.00 |
|
↓手順2
「税抜入力金額 × 換算レート」
(さらに外貨端数処理) |
|
入力税額をもとにした基準税額の算出は行われない |
|
|
基準 |
15,027.70
(15,027.00) |
→手順4
「税抜基準金額 × {税率 / (1 + 税率)}」
(さらに税額端数処理) |
715.60
(715.00) |
→手順6
「税抜基準金額 - 基準税額」 |
14,312.10
(14,312.00) |
( )内の数値は、「小数点以下端数処理」がONの場合