A.S.I.A.は多通貨での運用に対応しており、使用する通貨を自由に複数登録することが可能です。 A.S.I.A.では登録した通貨の中のひとつを基準通貨として扱い、そのほかの通貨を外貨として扱います。海外の事業拠点などでA.S.I.A.を使用する場合は、現地通貨を基準通貨とするのが運用上便利です。
通貨の登録は[コモンマスタモジュール]の[通貨登録]で行います。
基準通貨とは、会社が通常取引に使用する通貨を指します。A.S.I.A.では、登録した通貨のうち主に使用される通貨が基準通貨になります。それ以外は全て外貨という扱いになります。
基準通貨以外の外貨で伝票を入力する場合は、通貨、レートタイプ、為替レートを指定します。
A.S.I.A.での入出力処理は基本的にどの通貨でも行えますが、[在庫管理モジュール]や[決算書作成モジュール]では基準通貨のみとなり、また、これ以外のモジュールの帳表も基準通貨のみの出力となる場合がありますのでご注意ください。
基準通貨の設定は[システムカストディアンモジュール]の[会社設定]で行います。ただし、伝票データが一件でも存在する場合には基準通貨の変更ができませんのでご注意ください。
入力通貨とは、A.S.I.A.において金額入力を行った際に使用した通貨を指します。A.S.I.A.は多通貨対応のシステムですので、システムで入力された通貨および金額と、基準通貨に換算した金額を常に保持しています。入力された通貨が外貨(基準通貨以外)の場合には、システムは為替レートを掛けて基準通貨での金額を保持しますし、入力された通貨が基準通貨の場合はレートとして1.000000を掛け、入力金額と同じ金額を基準通貨でも保持します。全ての帳表は基本的に基準通貨で出力されます(一部の帳表は出力時に外貨への換算が可能です)。 伝票入力の処理では、必ず基準通貨に換算して保存するような処理を行っているため、手計算で外貨金額にレートをかけて基準通貨を求める必要は一切ありません。
例:受注入力画面
外貨で計上した場合、基準金額換算処理(入力金額×換算レート)では端数が発生することがあるため、まるめ処理が必要となります。
システムカストディアンの[パラメータ設定]にて「外貨端数処理区分」として「切り上げ」「切り捨て」「四捨五入」のいずれかを登録しておくと、設定された端数処理が全ての外貨換算処理において行われます。
端数処理を行う桁数は、システムカストディアンの[会社設定]にて設定する「小数点以下1桁で端数処理」の有無により異なります。
この「小数点以下1桁で端数処理」の設定は、基準金額換算処理以外でも使用されます。端数処理の詳細については、「A.S.I.A.における端数処理の概念」を参照してください。
外貨で取引を行った場合、入力した外貨金額を基準通貨に換算する場合や、基準金額を外貨に換算する場合、為替レートを掛けることにより目的の金額を求めます。為替レートは各エントリ画面において直接入力することもできますが、[為替レート登録]であらかじめ為替レートを設定しておくと各画面において自動表示されるので便利です。
レートは、日毎に設定が可能です。通貨毎に10種類までレートを設定できますので、複数のレートを必要に応じて使い分けることができます。また、日/月単位での登録画面と年間単位での登録画面が用意されていますので、毎日異なったレート使用する場合などには前者を、レートを期間で固定する場合などには後者をご使用いただくと便利です。
また、通貨をコモンマスタの[通貨登録]で登録するときに、「予約レート適用」ありとして登録しておけば、債権/債務の消込計上時において伝票計上日のレートが自動的に適用されます。同一通貨を「予約レート適用」あり/なしの両方で登録することもできますので、別通貨として扱うこともできます。
例:
入金計上依頼日 5月3日(この日の基準通貨への為替レートを117とする)
消込計上日 6月30日(この日の基準通貨への為替レートを120とする)
上記の条件の場合、"予約レート適用"ありの場合の消込計上時のレートは117となり、"予約レート適用"がOFFの場合は120となります。
レートタイプ
外貨を指定して計上を行う場合、必ず「レートタイプ」を指定します。レートタイプは以下の11種類より選択可能です。
A.S.I.A.における名称 |
正式英語名称 |
用途 |
対象外 |
- |
通貨として「基準通貨」を選択した場合の表示 |
TTB |
Transfer Telegraph Buying |
対顧客買い相場(電信買相場) |
TTS |
Transfer Telegraph Selling |
対顧客売り相場(電信売相場) |
TTM |
Transfer Telegraph Middle |
対顧客中値(仲値、公示相場) |
社内レート |
Internal Rate |
社内やグループ会社間での取引に利用できるレート |
Cash-B |
Cash Buying Rate |
現金買い相場 |
Case-S |
Cash Selling Rate |
現金売り相場 |
Acceptance-S |
Acceptance Selling Rate |
一覧払い輸入手形決済相場 |
Usance-B |
Usance Buying Rate |
期限付き手形買い相場 |
AS-B |
At Sight Buying Rate |
信用状付き一覧払い手形買い相場 |
AS(None L/C)-B |
At Sight(None L/C) Buying Rate |
信用状無し一覧払い手形買い相場 |
コモンマスタの[為替レート登録]では、日にちごと、レートタイプごとの為替レートを登録しておくことができます。
[システムカストディアンモジュール]の[パラメータ設定]で"債権債務消込時に為替差損益自動計上"を"行なう"に設定している場合、計上時点と評価時点(通常は月末)の為替レートをもとに、外貨換算後のアイテムごとの差損益を確認することができる[外貨評価換算]を実行することができます。複数通貨、複数レートタイプの換算をまとめて処理することができます。
また、切放法による評価(口別計算)と洗替法による評価(期間計算)の2種類の評価方法にも対応しています。外貨換算処理は[多通貨会計モジュール]の[外貨評価換算]で行います。
外貨換算処理を実行すると、指定した通貨、データレベルの実行月度の末日までのデータを対象として、為替差損益を計上する外貨評価換算伝票が、自動仕訳により実行月度の末日計上で、1為替換算科目につき1伝票作成されます。